ネットモーション 2020年を予測

この記事は NetMotion Software ブログ (英語、米国時間2019-12-17公開) の抄訳です。原文はコチラに掲載しています。

ネットモーション 2020年を予測

年末は、過去12ヶ月で私たちの注目を集めた主なイベントや商品について熟考するチャンスである。生活の大半がテクノロジーに支えられていることを振り返りつつ、私たちはもう一度水晶球のちりを払い、2020年で起こりそうなことを予想してみよう。予測のいくつかは我々の業界がどこに向かっているかを論理的に分析して行ったが、中には、世の中が期待していると我々が感じたというものもある。

・・・というわけで、難しい話は抜きにして、私どもが予想する2020年の上位5つを紹介しよう。最後には、シェアせずにはいられなくなる超大胆な予想つきだ。

1)  携帯電話を標的とした、ランサムウェアをベースにした最初の攻撃

ここ1年で、世界中の地方自治体や国家レベルで、政府機関など特定の場所を標的としたランサムウェア攻撃の不運な氾濫を私たちは目にしてきた。これらの攻撃の典型的なシナリオは、サポートされずに使用されているWindowsコンピューターで、期限切れもしくはパッチを当てていないソフトウェアの脆弱性を主に利用してハッカーがコンピューターネットワークにアクセスし、重要なシステムを支配して追跡ができないようにデータを暗号化し、仮想通貨の身代金を巻き上げるというものである。このとき被害者は非常に難しい状況に置かれる ― 特に地方自治体はお金を払うかどうか決めるため、既に張り詰めている予算と向き合わなければならず、(おそらく)相手のシステムに身代金を支払うまで、他の標的に攻撃を続けるハッカーにとって励みとなる国民からの深刻な反発が起こる可能性だってあるのだ。これからの攻撃は信じられないほどの成功を収めてきており、被害額は数百万ドルにのぼる。

2020年、ハッカーが新たな方向、いわゆる無防備な標的へと焦点を合わせるのは当然のことと言えるだろう。結果として、私たちはAndroidや(可能性は低いが)iOSのデバイスで作動しているモバイルアプリ上でランサムウェア攻撃が行われる様子を初めて目にする可能性がある。Androidデバイスでとりわけ大きな問題となっているのは旧バージョンのOSの利用である。多くのデバイスで旧バージョンのソフトウェアが利用され続けていること、セキュリティパッチの頻度が減少していることが挙げられる。これは、ITチームにとって悩みの種となっているのが、単にアプリケーションの互換性という観点だけにとどまらず、重大なセキュリティの脅威にもつながるものだということが時間を経てわかってくるだろう。

2) 画面表示だけの「低機能」スマートフォンが登場する

シン・クライアントについての噂を覚えているだろうか? 当時は、新世代のパワフルなサーバが登場し、高速なネットワーク接続で私たちはサーバ側でプログラムを動かしてあらゆるデータ処理ができるようになり、ユーザ側は処理能力の低いプロセッサで十分なので安価なコンピューターを展開することができるようになると謳われ、期待されていた。

なかなかシン・クライアントが実際に実現する気配がなく、その結果、私たちは現在のようなクラウド・コンピューティング環境への移行を考え始めたのだった。当時のシン・クライアントは世の中にあまり浸透しなかったが、おそらく、表示画面機能だけの「低機能」スマートフォン(dumb smartphone)なら実現するかもしれない。5G(第五世代携帯ネットワーク)が登場し、言われているとおりの非常に高速で信頼性のあるモバイルネットワークが実現したら、どのようなハードウェアスペックのスマートフォンを使用すべきか再考しても良い頃かもしれない。今日のフラグシップスマートフォンは、しばしば1,000米ドルを超えており(折りたたみ型スマホのモトローラ reborn Razrは1,500米ドル、サムスンのGalaxy Foldはなんと1,980米ドルもする)、強烈なモバイル時代に私たちが生きていることには疑いの余地はない。

しかし、多くの消費者や組織が新型デバイスへの膨大なコスト負担に耐えられなくなってきており、最新かつ最上級のスマートフォンに高い値段を払う必要はないという判断につながりそうである。そのようなニーズには、端末に高度なチップセットを搭載する代わりに、大きなスクリーンや高速ネットワークと、そこそこいいカメラだけを備えた「使えない」(低機能な)スマートフォンで、クラウド上の処理能力を活用するのがピッタリだ。ゲームの世界では既に実例が出てきている。マイクロソフトとソニーからは2020年にゲーム機の最新世代を発売することが大いに期待されているし、Googleからクラウドゲームプラットフォーム Stadia が発表され、そしてアマゾンクラウドゲームサービスの噂など、あらゆるものがクラウドに向かって進んでいる。私たちはこの動きを前にも見たことがあるだろう。ネットフリックスが登場してDVDは時代遅れなものになったように、近い将来にStadiaのようなサービスが実現すれば、ユーザデバイスには高価なオンボードストレージやプロセッサパワーは、もはや必要なくなるのだ。

3) Googleが「無料版」ストレージで10億ドルを稼ぎ出す

遡ること2004年にGoogle がGmailをリリースし、今やクラウドストレージ無しの生活は考えられなくなった。当時Googleはすべての利用者に1ギガバイトの無料ストレージを付与し、その後2013年までに15GBへと段階的に増量された。このストレージ領域はGmailやGoogleドライブなど、複数のGoogleサービスに跨(またが)って利用できる。容量の範囲内であれば、写真、文書、メールなどがGoogleクラウド上に自動で簡単かつ安全に保管できるが、Googleが私たちの個人情報にアクセスすることを許容することで無料または低価格なのである。

しかし、そもそも15GBの無料利用枠で十分だろうか? オンライン保管に対する私たちの欲求はとどまることを知らない。私たちはスマートフォンだけでなく、私用・会社支給のパソコンにも絶えずデータをバックアップし続けている。「バックアップのバックアップ」も保存している。

一方でGoogleは、かつては無料クラウドストレージとバンドル販売していたGoogleハードウェアに関する販売方針を変更している。以前はChromebooksには2年間100GBの無料オンラインストレージが付属していたが、容量は変更されないものの5月からは有効期限は1年間に短縮された。前作である Pixel 3 スマートフォンは最大解像度のオリジナル画像を無制限にクラウドストレージ保存することが許可されていたが、今年発売されたPixel 4 は無料保存するためには画像の品質を低下させる圧縮設定が必要になった。Pixel4の高品質なカメラで撮影した写真を完全保存するためには、クラウドストレージの追加費用が必要になってしまったのだ。ロサンゼルスタイムズが先日指摘したように、Googleは数十億人の利用者をサービスに引き付けることができたので、それを利用して数十億ドルもの利益に変える準備が整っているとしても、何の驚きにも当たらない。

4) 週5日制労働の終焉

もう何十年もの間、私たちの多くが月曜から金曜までの週5日、週40時間労働を続けてきた。しかし、多くの企業が従来型の週間労働時間のロジックを考え直しつつある。
従業員がきちんと仕事を完了できるのであれば、時間や場所を制限する必要があるのだろうか? 従業員の生産性を高める良い方法は無いのだろうか?

NetMotion Mobilityを活用していつでもどこからでも仕事ができる環境が整えば、日本マイクロソフトやShake Shackのように週4日制労働の試験導入も可能となるだろう。これについては、誰に聞いてもポジティブに捉えられているようだ。もし毎週末が3連休になるのが確実になるならば平日に数時間の残業を嫌がる人はいないだろう。 今のところ多くの矛盾は無いように見える。マイクロソフトは、生産性を40%向上、光熱費の節約、従業員の幸福度も向上したと発表している。英国の労働党でさえも今後10年で週4日労働の法案提出を計画しており、正規雇用社員あたりの平均労働時間を週32時間にまで減らせる試算だという。

5) 企業向けビジネスにシフトするApple

Appleの製品は使いやすさ、洗練されたソフトウェア、長寿命などで定評があり、コンシューマー向けに人気が高いのは疑う余地がない。しかし、Appleが注力するiPhone、 Apple Watch、 Apple TV、 HomePodやストリーミングサービスなど、あまり企業向けITのニーズには響かない製品も多かったのではないだろうか。実際のところAppleは企業向けのITビジネスにシフトしようとしている。最近では、Device Enrollment Program (DEP) という機能をリリースし、IT管理者がApple IDを作成してモバイルデバイス管理 (MDM) を行うタスクを大幅に簡略化したとしている。ここ数年、顕著になってきているのはIBMのような企業が述べているように、Apple製品はWindowsに比べて運用コスト削減ができるだけでなく従業員の幸福度や生産性も向上できる、というコメントは注目に値する。

しかしAppleが企業向けITビジネスで躍進するには課題も多い。Appleはソフトウェアに注力してきているが、Google G-SuiteやMicrosoft Office 365のような定番ビジネスアプリには及ばない。マイクロソフトやGoogleを追いかけて企業向けや教育向けITの分野でAppleが2020年を生き残るためには、巨大企業としてあぐらをかかずに、グローブを脱いで素手で本気で戦うような勢いで、企業向けの生産性向上やデバイス管理を謳った製品をリリースして、ポリシー制御やセキュリティ機能にも注力する必要があるだろう。その最初の兆候はAppleのマーケティング担当上級副部長であるフィリップ・シラーがGoogleに勝利した際のインタビューで確認できる ――Googleの”安物な”クロームブックを学校で使う学生は”成功しないだろう”と公言し、Googleを非難したのだ。これはGoogleにとって痛い一撃だろう。

 

以上の2020年予測で物足りないという人には、もう一つボーナストピックを用意した。

6) AWSがアマゾンから独立する

企業買収や多角化が流行し、テクノロジー業界にもその波が広がっている。過去にはAmazonのような大企業にも大規模買収の歴史があり、2008年のAudible、2009年のZappos、2010年のWoot 、最近では2017年のWhole Foods、2019年のEero買収と続く。その一方で、 Fire Phone のような失敗施策については比較的早い段階で見切りを付けて終息させ、会社全体としての安定成長に影響しないようにしている。

それでは、Amazonの屋台骨であるAWSクラウドコンピューティングサービスについて見ていこう。言わずもがな従量制課金(pay-as-you-go)モデルは、Amazonの本業であるEコマースとは大きく特性が異なる。AWSはAmazonの子会社の一つであるが、2017年にAWSの最高経営責任者であるアンディー・ジェシーが、もしも分社化するなら大きな驚きだ、とコメントしているが、風向きは変わってきている可能性がある。10カ年計画の“JEDI”クラウド案件でマイクロソフトに対して国防総省入札でAWSが負けたことも要因と見られる。Amazonによると、ワシントンポスト紙と関連があるジェフ・ベソス氏に対するアメリカ大統領ドナルド・トランプからの圧力による影響としているが、結局のところAmazonもGoogleがしてきたように、持株会社Alphabet社を設立してコアビジネスに注力する一方でWaymoのような儲かりそうもない会社をバランスシートから削除するといったような、類似の経理手法をたどるとしても不思議ではない状況だ。
これは余談だが、もしAmazonからAWSを分社化すれば、トータルの企業価値は現在のAmazonよりも改善する。つまり、確実に株主を喜ばせられるのだ。

まとめ

以上、2020年の予想を紹介したが、皆さんはどのような感想をお持ちだろうか。2020年に何が待ち受けているとしても、ワクワクするような新製品発表や熾烈な争いは目白押しになることだけは間違いない。これは待ちきれない1年になりそうだ。

 

原文著者:
JOEL WINDELS
最高マーケティング責任者
NetMotion Software, Inc.

 

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